- 2026年9月24日
- 2026年10月5日
急な腹痛の原因と対処法|危険なサインと病院の選び方
突然、お腹がキリキリと痛む…そんな経験はありませんか。急な腹痛に襲われると、「何か悪い病気だったらどうしよう」と不安になってしまいますよね。また、痛みの原因はストレスなのか、それとも食事が原因なのか、自分では判断が難しいことも多いです。
食後の痛みや繰り返す腹痛、吐き気や下痢、冷や汗が出るほどの激痛など、症状は人それぞれです。しかし、中には様子見をしてはいけない危険なサインも隠れています。そのため、正しい知識を持つことがとても大切になります。
この記事では、急な腹痛の様々な原因から、病院を受診する目安、何科へ行けばよいのか、そして医師に伝えるべきことまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。いざという時に慌てず、適切に対応できるようになりましょう。
著者プロフィール

吉田 健一(よしだ けんいち)
御代志よしだクリニック 院長
出身地: 熊本県熊本市
出身校: 熊本市立西原中学校、熊本高校、熊本大学
経歴:済生会熊本病院に26年勤務してきました。
専門分野:内科、消化器内科、医療安全
趣味:高校大学はボート部に所属し、1995年の福島国体に出場しました。現在は、料理とサッカー観戦を楽しんでいます!
・急な腹痛を引き起こす様々な原因がわかります
・様子見OKな痛みと危険なサインを見分けられるようになります
・腹痛が起きた時に家庭や職場でできる正しい対処法がわかります
・病院を受診する際に、医師に伝えるべきポイントが整理できます
急な腹痛の原因と危険なサイン
ストレスや性別による原因の違い
急な腹痛といっても、その原因は一つではありません。特に、ストレスは胃腸の働きに大きく影響することが知られています。大切な会議の前にお腹が痛くなる、といった経験がある方もいるのではないでしょうか。
また、性別によっても腹痛の原因は異なります。女性の場合は、月経に伴う痛みや、子宮・卵巣の病気が原因で腹痛が起こることもあります。そのため、痛む場所やタイミングも重要な手がかりになります。

最近、ストレスを感じるとすぐにお腹が痛くなるんです…。これって病気なのでしょうか?

ストレスが引き金となって腹痛や下痢・便秘を繰り返す場合、「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性があります。まずは生活習慣を見直すことが大切ですが、症状が続く場合は一度、消化器内科で相談してみると良いでしょう。
ストレスによる胃腸の不調は、多くの人が経験するものです。しかし、それが日常生活に支障をきたすようであれば、専門家への相談も検討しましょう。詳しくは「ストレスが原因?腹痛・下痢のサインと対処法」の記事でも解説していますので、参考にしてください。
食後すぐや繰り返す痛みが示すこと
「食事をすると必ずお腹が痛くなる」「同じような痛みを何度も繰り返している」という場合、特定の病気が隠れている可能性があります。例えば、食後すぐにみぞおちあたりが痛むなら、胃炎や胃潰瘍などが考えられます。
また、脂っこい食事をした後に右の上腹部が痛む場合は、胆石症のサインかもしれません。このように、痛みが起こるタイミングや場所は、原因を探るための大切なヒントになります。
・食後すぐの痛み: 胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など
・脂っこい食事の後の痛み: 胆石症、胆のう炎など
・空腹時の痛み: 十二指腸潰瘍など
※上記はあくまで一例です。自己判断せず、気になる症状があれば医療機関を受診してください。
吐き気を伴う、または下痢が止まらない
腹痛と同時に吐き気や嘔吐、そして水のような下痢が続く場合、ウイルスや細菌による急性胃腸炎(感染性胃腸炎)が最も多く考えられます。一般的に「おなかの風邪」とも呼ばれる状態です。
特に、生牡蠣などを食べた後に症状が出た場合はノロウイルス、加熱が不十分な鶏肉を食べた場合はカンピロバクターなど、原因は様々です。食中毒の多くは、適切な水分補給と安静で回復に向かうとされています。
嘔吐や下痢が続くと、体から水分と電解質が失われ、脱水症状を起こすことがあります。特に、お子さんや高齢者の方は注意が必要です。経口補水液などで、こまめに水分を補給することを心がけてください。(参照:厚生労働省 食中毒)
発熱を伴う、冷や汗が出るほどの痛み
急な腹痛に加えて、38度以上の高熱が出たり、冷や汗が出るほどの激しい痛みに襲われたりした場合は、緊急性の高い病気の可能性があります。このような症状は、我慢せずにすぐに医療機関を受診すべきサインです。
例えば、お腹の右下あたりに激痛があり、発熱を伴う場合は「虫垂炎(ちゅうすいえん)」、いわゆる盲腸が疑われます。他にも、お腹全体に広がる激痛は「腹膜炎」など、手術が必要な病気の可能性も考えられます。
「歩くとお腹に響いて痛い」「痛くて体をまっすぐに伸ばせない」「意識がもうろうとする」といった症状は、非常に危険なサインです。このような場合は、ためらわずに救急車の要請も検討してください。
様子見の判断基準と我慢するリスク
腹痛が起きても、「少し休めば治るだろう」と様子を見てしまうことはよくあります。痛みが軽く、すぐに治まるようであれば、多くの場合、大きな心配はいらないでしょう。
しかし、痛みを我慢し続けることには大きなリスクが伴います。例えば、虫垂炎を放置すると腹膜炎を引き起こし、命に関わる状態になることもあります。痛みが病気の重要なサインであることを見逃してしまうのです。
「いつもの痛みだから」と自己判断せず、痛みが長引いたり、だんだん強くなったりする場合には、きちんと原因を調べることが大切です。我慢することが、かえって治療を遅らせてしまう結果につながりかねません。
受診の目安となる危険なサインや症状
では、具体的にどのような症状があれば病院へ行くべきなのでしょうか。これまでの内容をふまえ、受診の目安となる危険なサインをまとめました。一つでも当てはまる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
・冷や汗が出るほどの、今までに経験したことのない激しい腹痛
・痛みがどんどん強くなる、または痛む場所が移動する
・38度以上の高熱を伴う
・吐き気や嘔吐が止まらない
・血便や黒い便(タール便)が出る
・お腹がパンパンに張って硬い
・意識が遠のく、朦朧とする
これらのサインは、体が発するSOSです。見逃さずに、適切な対応を心がけてください。また、便に血が混じるなどの症状は、大腸の病気の可能性も考えられます。関連情報として「大腸がん検診の便潜血で陽性?慌てないための知識」も参考になるかもしれません。
急な腹痛が起きた時の正しい対処法
何科へ行く?内科など病院の選び方
急な腹痛で病院へ行こうと思った時、まず「何科を受診すればいいの?」と迷うかもしれません。基本的には、まずは「内科」または「消化器内科」を受診するのが一般的です。
お腹の専門家である消化器内科では、胃や腸、肝臓、胆のう、膵臓など、幅広い臓器の不調に対応してくれます。どこに行けばよいか分からない場合は、まず内科で相談してみましょう。
ただし、女性で下腹部の痛みがあり、月経不順や不正出血などを伴う場合は「婦人科」が適切な場合もあります。また、排尿時の痛みや血尿があるなら「泌尿器科」の可能性も考えられます。症状に合わせて判断することも大切です。
かかりつけ医や夜間・休日診療への相談
普段から自分の健康状態をよく知ってくれている「かかりつけ医」がいると、いざという時に心強いです。まずはかかりつけ医に電話で相談し、指示を仰ぐのが良いでしょう。
しかし、腹痛は夜間や休日に突然起こることも少なくありません。そんな時に慌てないために、お住まいの地域の夜間・休日診療所や、救急相談窓口を事前に確認しておくと安心です。
急な病気やケガで、救急車を呼ぶべきか、病院へ行くべきか迷った時に相談できる電話窓口が「救急安心センター事業(#7119)」です。医師や看護師などが24時間365日対応し、アドバイスをしてくれます。まだ全国展開ではありませんが、対象地域にお住まいの方は覚えておくと便利です。(参照:総務省消防庁 救急安心センター事業)
仕事中に起きた時の対応と救急車の判断
もし仕事中に耐えられないほどの腹痛に襲われたら、無理は禁物です。すぐに上司や同僚に状況を伝え、休ませてもらうか、早退して病院へ向かいましょう。
我慢して仕事を続けることで、症状が悪化してしまう可能性があります。周りに迷惑をかけたくないという気持ちも分かりますが、自分の体を守ることが最優先です。
もし、動けないほどの激痛や意識がもうろうとするなどの症状が現れた場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。救急車を呼ぶべきか迷った時は、前述の「#7119」に相談するか、各地域の消防庁が公開しているガイドラインを参考にしてください。(参照:東京消防庁 救急相談センター)
病院で伝えることと診察・検査の流れ
病院に着いたら、医師に症状を正確に伝えることが、適切な診断への近道です。慌てずに、以下のポイントを整理して伝えられるように準備しておくとスムーズです。
- いつから痛いか:(例:昨日の夜から、3時間前から)
- どこが痛いか:(例:みぞおち、お腹全体、右下腹部など)
- どんなふうに痛いか:(例:キリキリ、シクシク、差し込むような痛み)
- 他に症状はあるか:(例:吐き気、下痢、発熱、血便など)
- きっかけに心当たりはあるか:(例:脂っこいものを食べた、ストレスがあった)
- 持病や服用中の薬、アレルギーの有無

病院ではどんな検査をするのでしょうか?ちょっと不安です…。

ご安心ください。まずは問診と、お腹を触って痛みの場所や硬さを確認する触診を行います。その後、必要に応じて血液検査や尿検査、超音波(エコー)検査、レントゲン検査などを行い、原因を探っていきます。場合によっては胃カメラやCT検査が必要になることもあります。
胃カメラなどの検査については、「胃がん検診、胃カメラとバリウムどっち?違いを徹底解説」の記事で詳しく解説していますので、不安な方はぜひご覧ください。
急な腹痛は自己判断せず受診しよう
今回は、急な腹痛の原因と対処法について解説しました。最後に、この記事の重要なポイントをリストで振り返ってみましょう。
・急な腹痛の原因は、ストレス、食事、ウイルス感染、病気など多岐にわたる。
・ストレスは胃腸の働きに影響し、過敏性腸症候群などを引き起こすことがある。
・女性特有の腹痛(月経痛、婦人科系疾患)にも注意が必要。
・食後の痛みは胃潰瘍、脂っこい食事の後の痛みは胆石症の可能性がある。
・吐き気や下痢を伴う場合は、急性胃腸炎(食中毒)が考えられる。
・嘔吐や下痢が続く時は、脱水症状にならないよう水分補給が重要。
・発熱や冷や汗を伴う激痛は、虫垂炎など緊急性の高い病気のサイン。
・「歩くと響く」「体を伸ばせない」ほどの痛みは、すぐに受診が必要。
・痛みを我慢すると、病気が重症化するリスクがあるため自己判断は危険。
・血便や黒い便が出た場合は、消化管からの出血が疑われるため、速やかに病院へ。
・腹痛で何科に行くか迷ったら、まずは内科・消化器内科を受診するのが基本。
・夜間・休日の腹痛は、地域の休日診療所や救急相談窓口(#7119など)に相談する。
・仕事中に激しい腹痛が起きたら、無理せず休み、必要なら救急車を呼ぶ。
・病院では「いつから、どこが、どんなふうに痛いか」などを正確に伝えることが大切。
・急な腹痛は、体が発する重要なサイン。安易に考えず、不安な場合は必ず医療機関を受診しましょう。
