- 2026年10月9日
- 2026年10月8日
潰瘍性大腸炎とは?症状と原因を優しく解説
「最近、お腹の調子がずっと悪い…」「もしかして、ただの下痢じゃないかも?」そんな不安を抱えていませんか。続く腹痛や血便は、体からの大切なサインかもしれません。
この記事では、潰瘍性大腸炎とはどんな病気なのか、その原因や主な症状、なりやすい人の特徴について、専門家が初心者の方にも分かりやすく解説します。
また、クローン病や過敏性腸症候群(IBS)との違い、病院での検査の流れ、診断後の生活で気をつけることまで、幅広くお伝えします。自己判断で「気のせい」と済ませず、ご自身の体と向き合うきっかけにしてください。
著者プロフィール

吉田 健一(よしだ けんいち)
御代志よしだクリニック 院長
出身地: 熊本県熊本市
出身校: 熊本市立西原中学校、熊本高校、熊本大学
経歴:済生会熊本病院に26年勤務してきました。
専門分野:内科、消化器内科、医療安全
趣味:高校大学はボート部に所属し、1995年の福島国体に出場しました。現在は、料理とサッカー観戦を楽しんでいます!
・潰瘍性大腸炎の基本的な知識がわかります
・見逃したくない初期症状や受診の目安がわかります
・病院での検査の流れや診断後の生活のヒントが得られます
・利用できる医療費の助成制度について知ることができます
潰瘍性大腸炎とはどんな病気?症状や原因を解説
どんな病気?なりやすい人の特徴・年齢も解説
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症が起きて、びらん(ただれ)や潰瘍ができてしまう病気です。炎症は直腸から始まり、奥へ奥へと連続的に広がっていく特徴があります。
この病気は、国の指定難病の一つとされています。以前は欧米に多い病気でしたが、近年は日本でも患者さんが増えており、誰にとっても身近な病気になりつつあります。
発症する年齢は20代から30代の若い世代が最も多いとされていますが、高齢になってから発症する方もいます。性別による差は特にないと言われています。
【ポイント】
潰瘍性大腸炎は、症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことが多い、長く付き合っていく必要のある病気です。正しい知識を持つことが、上手に付き合っていく第一歩になります。
原因はストレスや遺伝?放置した場合のリスク
「なぜ私が?」と原因が気になる方も多いと思いますが、残念ながら、潰瘍性大腸炎のはっきりとした原因はまだ解明されていません。しかし、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症するのではないかと考えられています。
例えば、体を守るはずの免疫システムが異常に働いてしまう「自己免疫反応」や、遺伝的な要因、食生活の変化などが関係していると推測されています。ストレスは症状を悪化させる一因にはなりますが、直接的な原因ではないとされています。
症状を放置してしまうと、貧血や栄養障害につながることがあります。また、長期間炎症が続くと、大腸がんを発症するリスクが高まることも報告されているため、適切な治療を続けることが非常に重要です。
もしかして?初期症状と主な症状(下痢・血便)
潰瘍性大腸炎の最も代表的な症状は、下痢と血便です。便に血が混じる、あるいは粘液と血が混じった便(粘血便)が出るのが特徴です。血便は痔と間違われることもありますが、注意深く観察することが大切です。
また、腹痛を伴うことも多く、特に左下腹部に痛みを感じやすいと言われています。他にも、トイレの回数が増える「頻便」や、便が出そうなのに出ない「しぶり腹」、発熱、体重減少など、さまざまな症状が現れます。
これらの症状は、他の病気でも見られることがあります。特に血便が続く場合は、自己判断せずに早めに消化器内科を受診しましょう。血便については「血便の原因とは?放置は危険!色の違いでわかるサイン」の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

ただの下痢だと思ってたんですけど、血が混じっている気がして…。心配です。

それはご心配ですね。血便は体からの重要なサインです。潰瘍性大腸炎の可能性も考えられますので、一度専門医に相談することをおすすめします。
症状の段階と見逃しやすいお腹以外のサイン
潰瘍性大腸炎の症状の程度は、「軽症」「中等症」「重症」の3つの段階に分けられます。これは、1日の排便回数や血便の程度、発熱の有無などによって判断されます。
活動期には症状が強く現れますが、治療によって症状が落ち着いた「寛解期」という状態もあります。しかし、寛解期でも体の中では軽い炎症が続いていることがあるため、油断は禁物です。
【見逃しやすいお腹以外の症状(合併症)】
実は、潰瘍性大腸炎は腸だけでなく、全身に症状が出ることがあります。
・関節の痛み(特に手足の大きな関節)
・皮膚の異常(すねに赤いしこりができるなど)
・目の充血や痛み
・口内炎
これらの症状は「腸管外合併症」と呼ばれ、腸の炎症と関連して現れることがあります。
クローン病や過敏性腸症候群(IBS)との違い
腹痛や下痢といった症状は、他の病気でも見られます。特に「クローン病」や「過敏性腸症候群(IBS)」は、症状が似ているため間違われやすい病気です。
クローン病も潰瘍性大腸炎と同じく炎症性の腸の病気ですが、口から肛門まで消化管のどの部分にも炎症が起こりうる点が大きな違いです。一方、潰瘍性大腸炎は主に大腸に限定されます。
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスなどが原因で腸の動きに異常が起こる病気です。下痢や便秘を繰り返しますが、大腸カメラなどで検査をしても炎症や潰瘍は見つかりません。この点が、潰瘍性大腸炎との決定的な違いです。ストレスとお腹の不調の関係については、「ストレスが原因?腹痛・下痢のサインと対処法」も参考にしてください。
潰瘍性大腸炎とは診断されたら?検査や生活を解説
何科を受診すればいい?病院で行う検査の流れ
続く下痢や血便などの症状に気づいたら、「消化器内科」や「胃腸科」を受診してください。クリニックや病院で、専門的な診察や検査を受けることができます。
病院では、まず問診で詳しい症状を聞かれます。その後、炎症の程度を調べるための血液検査や、他の感染症でないかを確認する便検査が行われるのが一般的です。
最終的な確定診断のためには、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が必要不可欠です。この検査で大腸の粘膜を直接観察し、組織の一部を採取して病理検査にかけることで、病気を確定させます。
大腸カメラはつらい?医師にどう伝えるかのコツ
「大腸カメラは痛い、つらい」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、最近は検査の苦痛を和らげる工夫がたくさんあります。
多くの医療機関では、鎮静剤(麻酔)を使用して、うとうとと眠っているような状態で検査を受けることができます。お腹の張りを感じにくくするために、空気の代わりに炭酸ガスを使う施設も増えています。

検査がすごく不安です…。痛みに弱いので、耐えられるか心配で…。

大丈夫ですよ。その不安な気持ちを、ぜひ検査の前に医師や看護師に伝えてください。「痛みに弱いので鎮静剤を使いたいです」とはっきり伝えることが大切です。私たちがしっかりサポートしますから、安心してくださいね。
診断されたら仕事は続けられる?医療費の助成制度
潰瘍性大腸炎と診断されても、多くの方は治療を続けながら仕事を続けることが可能です。大切なのは、無理をせず、自分の体調と相談しながら働くことです。
症状が落ち着いている寛解期は問題なく働けることが多いですが、活動期で体調が優れない場合は、時短勤務やテレワークなどを上司や会社に相談してみるのも一つの方法です。病気について周囲の理解を得ることも大切になります。
【知っておきたい医療費助成制度】
潰瘍性大腸炎は国の指定難病のため、重症度など一定の基準を満たすと「特定医療費(指定難病)助成制度」を利用できます。この制度を使うと、医療費の自己負担額に上限が設けられ、経済的な負担を軽減できます。詳しくは、お住まいの地域の保健所や、厚生労働省の公式サイトで確認してください。
日常生活で気をつけることとかかりつけ医の重要性
診断後の生活では、症状を安定させるためにいくつかの点に気をつける必要があります。特に食事は大切で、脂肪の多い食事や香辛料などの刺激物、食物繊維の多い食品は、症状を悪化させることがあるため、調子が悪い時は避けた方が良いとされています。
また、心身のストレスや過労も再燃の引き金になりえます。十分な睡眠と休息を心がけ、自分なりのリラックス方法を見つけることが重要です。腸内環境を整える「腸活」も、日々の体調管理に役立つかもしれません。「腸活とは?初心者向けに意味から始め方まで優しく解説」でやさしく解説しています。
この病気は長く付き合っていく必要があるため、何でも相談できる「かかりつけ医」の存在が心の支えになります。信頼できる医師と二人三脚で治療を進めていきましょう。
自己判断は危険!「気のせい」で済ませないで
治療によって症状がすっかり良くなると、「もう治ったのでは?」と思い、自己判断で薬をやめてしまう方がいます。しかし、これは非常に危険な行為です。
症状がなくても、大腸の粘膜では弱い炎症がくすぶっている可能性があります。ここで薬をやめてしまうと、高い確率で症状が再燃し、以前よりも悪化してしまうことも少なくありません。
潰瘍性大腸炎の治療の目標は、症状がない「寛解」の状態をできるだけ長く維持することです。そのためには、医師の指示通りに治療を継続し、定期的に検査を受けることが何よりも大切です。
まとめ:潰瘍性大腸炎とは何かを正しく理解しよう
この記事では、潰瘍性大腸炎の基本から診断後の生活までを解説しました。最後に、大切なポイントをリストで振り返ってみましょう。
・潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起きる指定難病の一つです。
・主な症状は下痢や血便(粘血便)、腹痛などです。
・はっきりした原因は不明ですが、免疫異常などが関係すると考えられています。
・20~30代の若年層に発症しやすいですが、どの年代でも起こりえます。
・放置すると貧血や栄養障害、大腸がんのリスクが高まる可能性があります。
・関節痛や皮膚症状など、お腹以外の症状(合併症)が出ることもあります。
・症状が似ているクローン病やIBSとの違いは、炎症の場所や有無です。
・症状があれば、消化器内科や胃腸科を受診しましょう。
・診断には大腸カメラ検査が不可欠です。
・検査の不安は事前に医師に伝え、鎮静剤の利用などを相談できます。
・多くの場合、治療を続けながら仕事を続けることは可能です。
・国の医療費助成制度を利用できる場合があります。
・日常生活では、食事やストレス、過労に気をつけることが大切です。
・症状が改善しても、自己判断で薬をやめるのは絶対に避けてください。
・信頼できるかかりつけ医と協力し、根気強く治療を続けることが重要です。
潰瘍性大腸炎は、正しい知識を持って適切に治療すれば、症状をコントロールし、普通の生活を送ることができる病気です。不安な症状があれば、一人で悩まずに専門医に相談してください。(参照:難病情報センター 潰瘍性大腸炎)
