- 2026年9月28日
- 2026年10月5日
つらい胃痛は何科?病院へ行く目安と診療科の選び方
「急にキリキリと胃が痛む…」「食後の胃もたれや痛みがずっと続く…」そんな胃の不調で悩んでいませんか。我慢できるくらいの痛みだと、つい市販薬で済ませてしまいがちですが、その裏には思わぬ病気が隠れている可能性もあります。
また、いざ病院へ行こうと思っても、胃痛は何科を受診すれば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、胃痛の症状別に考えられる原因から、内科や消化器内科といった診療科の選び方、救急車を呼ぶべき危険なサインまで、わかりやすく解説します。夜中の痛みやストレスとの関係、薬を飲んでも治らない時の対処法など、あなたの不安に寄り添い、適切な受診行動をサポートします。
もう一人で悩まず、この記事を読んで正しい一歩を踏み出しましょう。
著者プロフィール

吉田 健一(よしだ けんいち)
御代志よしだクリニック 院長
出身地: 熊本県熊本市
出身校: 熊本市立西原中学校、熊本高校、熊本大学
経歴:済生会熊本病院に26年勤務してきました。
専門分野:内科、消化器内科、医療安全
趣味:高校大学はボート部に所属し、1995年の福島国体に出場しました。現在は、料理とサッカー観戦を楽しんでいます!
・胃痛の症状から考えられる原因がわかります
・自分に合った診療科の選び方が明確になります
・病院を受診すべき危険な症状を見極められます
・受診前に準備すべきことがわかり、安心して病院へ行けます
胃痛で悩んだら何科?考えられる原因と症状
急に突然の痛みと食後に悪化する症状
急に胃がキリッと痛んだり、食事の後に決まって痛みがひどくなったりする経験はありませんか。このような症状は、胃が何らかのサインを送っている証拠かもしれません。
原因としてよく考えられるのは、「急性胃炎」です。これは、暴飲暴食やアルコールの飲み過ぎ、香辛料などの刺激物が原因で、胃の粘膜が急に荒れてしまう状態を指します。そのため、胃がびっくりして、痛みという形でSOSを出しているようなイメージですね。
その他にも、細菌やウイルスによる「感染性胃腸炎」の可能性も考えられます。この場合は、胃痛だけでなく、吐き気や下痢を伴うことが多いのが特徴です。いずれにしても、急な強い痛みを感じたら、無理せず医療機関を受診することが大切です。

昨日、脂っこいものをたくさん食べたら、夜から胃がすごく痛くて…。これも急性胃炎でしょうか?

その可能性は十分に考えられますね。食べ過ぎや飲み過ぎが引き金になることは非常に多いです。症状が続くようであれば、一度消化器内科で診てもらうと安心ですよ。
続く治らない胃痛、キリキリシクシク痛む
一時的な痛みではなく、何週間もキリキリ、シクシクとした痛みが続く場合、注意が必要です。これは、胃の不調が慢性化しているサインかもしれません。
代表的な病気として「慢性胃炎」や「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」が挙げられます。特にピロリ菌の感染は、これらの病気の大きな原因とされています。ピロリ菌がいると胃の粘膜が弱くなり、胃酸の攻撃を受けやすくなってしまうのです。
・空腹時に胃が痛む、または食事をすると少し和らぐ
・みぞおち周辺の鈍い痛みが長く続く
・胸やけや胃もたれを頻繁に感じる
・黒っぽい便(タール便)が出る(胃からの出血のサイン)
このような症状が続く場合は、自己判断で市販薬を飲み続けるのではなく、専門医による正確な診断が不可欠です。胃カメラ検査などで原因を特定し、適切な治療を受けることが改善への近道となります。
吐き気嘔吐や下痢、背中の痛みを伴う場合
胃痛に加えて、吐き気や嘔吐、下痢といった症状が現れる場合、単なる胃の問題ではない可能性も考えられます。これらの症状は、体からの重要な警告サインです。
例えば、胃酸が食道に逆流して炎症を起こす「逆流性食道炎」では、胸やけと共に吐き気を伴うことがあります。また、ウイルスや細菌による「感染性胃腸炎」では、激しい嘔吐や下痢が特徴です。
胃痛と同時に背中にも強い痛みを感じる場合、すい臓の病気である「急性膵炎」の可能性も考えられます。急性膵炎は重症化すると命に関わることもあるため、我慢せずにすぐに医療機関を受診してください。特に、お酒をたくさん飲んだ後に起こりやすいとされています。
このように、付随する症状によって疑われる病気は様々です。自分の症状をよく観察し、医師に正確に伝えることが、正しい診断につながります。
夜中夜間の痛みとストレス疲れとの関係
「日中は平気なのに、夜中や朝方に胃が痛くて目が覚める…」そんな経験はありませんか。実は、胃の働きは自律神経によってコントロールされており、ストレスや疲れと密接に関係しています。
強いストレスや不規則な生活が続くと、自律神経のバランスが乱れ、胃酸が過剰に分泌されたり、胃の動きが悪くなったりします。これにより、「機能性ディスペプシア」という、検査をしても異常が見つからないのに胃の不調が続く状態になることがあります。まさに、胃がストレスで疲弊してしまっているのです。
また、夜間は副交感神経が優位になり、胃酸の分泌が活発になる時間帯です。そのため、もともと胃が弱っていると、夜中に痛みを感じやすくなる傾向があります。胃の不調が続くときは、心と体の休息も意識することが大切です。ストレスと胃腸の関係については、「ストレスが胃腸に与える影響とは?原因と対策を優しく解説」の記事もぜひ参考にしてください。
ストレスは、胃痛だけでなく腹痛や下痢など、さまざまなお腹の不調を引き起こすことがあります。もし腹痛や下痢にもお悩みなら、ストレスが原因?腹痛・下痢のサインと対処法の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
胃痛で何科を受診すべきか判断するポイント
内科消化器内科どっち?受診科の選び方
胃痛で病院に行こうと決めた時、多くの人が「内科?それとも消化器内科?」と迷うのではないでしょうか。どちらを受診しても間違いではありませんが、よりスムーズに適切な診断を受けるための選び方があります。
結論から言うと、胃痛の症状がはっきりしている場合は「消化器内科」の受診がおすすめです。消化器内科は、食道・胃・腸・肝臓・胆のう・すい臓といった消化器全般を専門とする科です。そのため、胃カメラなどの専門的な検査もスムーズに行え、原因の特定から治療までを一貫してお願いできます。
一方、「内科」は体全体の不調を幅広く診てくれる診療科です。胃痛の他に発熱や頭痛など、他の症状もある場合や、どの科に行けばいいか全くわからない場合は、まず内科を受診して相談するのも良いでしょう。必要であれば、内科の医師が適切な専門科を紹介してくれます。
・消化器内科がおすすめな人
胃痛、胸やけ、胃もたれなど、症状が消化器系に集中している人
・内科がおすすめな人
胃痛以外にも複数の症状がある人、どの科に行けばいいか迷っている人
女性や男性で違う注意点と心療内科精神科の選択肢
胃痛の原因は、必ずしも胃そのものにあるとは限りません。特に女性の場合、月経周期に関連するホルモンバランスの乱れや、婦人科系の病気が原因で胃の不調を感じることがあります。
例えば、子宮内膜症や月経困難症などが、胃痛に似た腹痛を引き起こすこともあります。消化器内科で異常が見つからないのに痛みが続く場合は、婦人科の受診も検討してみましょう。
また、男女問わず、強いストレスが原因で胃痛が起きている場合は「心療内科」や「精神科」が選択肢になることもあります。前述の「機能性ディスペプシア」のように、心の不調が体に現れているケースです。消化器内科での治療と並行して、心のケアを行うことで症状が大きく改善する場合も少なくありません。

ストレスが原因かもしれないけど、心療内科に行くのは少し抵抗があって…。

お気持ちはよくわかります。ですが、心と体はつながっています。体の治療だけでは良くならない時、心の専門家のサポートが大きな助けになることも多いのですよ。まずは消化器内科の先生に相談して、必要であれば紹介してもらうという形でも大丈夫です。
救急車を呼ぶべき症状と受診の目安タイミング
ほとんどの胃痛は緊急を要しませんが、中には命に関わる危険な病気のサインである場合があります。ためらわずに救急車を呼ぶべき症状を知っておくことが、自分や家族の命を守ることにつながります。
| 症状 | 考えられる危険な病気 |
|---|---|
| 突然の激痛、冷や汗、意識が遠のく | 胃・十二指腸潰瘍穿孔、急性心筋梗塞など |
| 吐血(血を吐く)、黒い便(タール便)が大量に出る | 胃や食道からの大量出血 |
| みぞおちから背中に抜けるような激しい痛み | 急性膵炎、大動脈解離など |
| 高熱を伴い、お腹全体が硬くなるような痛み | 腹膜炎など |
これらの症状は、一刻を争う可能性があります。我慢せず、すぐに119番通報してください。また、救急車を呼ぶか迷った場合は、救急相談センター(#7119)に電話で相談することもできます。
上記のような激しい症状でなくても、市販薬を数日飲んでも改善しない、痛みがだんだん強くなる、といった場合も早めに医療機関を受診しましょう。
薬を飲んでも治らない時や放置するとどうなる?
「いつもの胃薬を飲んだけど、全然効かない…」そんな時は、市販薬で対応できる範囲を超えているサインかもしれません。安易に自己判断で薬を飲み続けたり、痛みを放置したりするのは危険です。
例えば、胃潰瘍を放置すると、悪化して胃に穴が開く「穿孔(せんこう)」を起こすことがあります。また、ピロリ菌に感染した状態が長く続くと、胃がんのリスクが高まることも知られています。
胃がんは早期に発見すれば治る可能性が高い病気ですが、初期症状は胃炎や胃潰瘍と区別がつきにくいのが実情です。薬を飲んでも治らないしつこい胃痛は、胃がんなどの重大な病気が隠れている可能性を否定できません。胃がんの検査方法について詳しく知りたい方は、「胃がん検診、胃カメラとバリウムどっち?違いを徹底解説」の記事もご覧ください。
「ただの胃痛」と軽視せず、症状が改善しない場合は必ず専門医に相談しましょう。早期発見・早期治療が、何よりも大切です。
病院選びのポイントと受診前に準備すること
いざ病院へ行くと決めても、どこのクリニックが良いのか迷いますよね。また、診察室でうまく症状を伝えられるか不安に思う方もいるでしょう。ここでは、後悔しない病院選びと、スムーズな受診のための準備について解説します。
- 消化器病専門医・指導医がいるか
専門の知識と経験が豊富な医師に診てもらえると安心です。病院のウェブサイトなどで確認できます。 - 胃カメラ(内視鏡検査)が受けられるか
胃の内部を直接観察できる胃カメラは、正確な診断に不可欠です。鎮静剤を使って楽に検査を受けられる病院もあります。 - 通いやすい場所にあるか
治療や経過観察で何度か通院が必要になることもあります。自宅や職場からアクセスしやすい場所が便利です。
受診前には、伝えたいことをメモにまとめておくと、医師に的確に症状を伝えられます。MSDマニュアルでは、医師に伝えるべき情報として、症状の性質や持続時間、食事との関係などを挙げています。(参照:MSDマニュアル家庭版)
・いつから痛むか
・どんな痛みか(キリキリ、シクシク、ズキズキなど)
・どのあたりが痛むか
・痛みが強くなる/和らぐタイミング(食後、空腹時など)
・胃痛以外の症状(吐き気、下痢、熱など)
・現在飲んでいる薬(市販薬、サプリメント含む)
・過去にかかった病気やアレルギー
迷ったらとりあえず!まずはかかりつけ医に相談
「専門の病院を探すのが大変」「どの科に行けばいいか、やっぱり決められない」そんな時は、まず身近な「かかりつけ医」に相談するのが最善の策です。
かかりつけ医は、あなたの普段の健康状態や生活習慣、過去の病歴などを把握してくれている、最も身近な健康アドバイザーです。胃痛の原因が風邪などの一時的なものである可能性も含めて、総合的に判断してくれます。
そして、もし専門的な検査や治療が必要だと判断した場合は、あなたの症状に最適な専門医や病院を紹介してくれます。紹介状があれば、大きな病院での受診もスムーズに進みます。日本医師会も、地域医療を支える「かかりつけ医」を持つことを推奨しています。(参照:日本医師会「 国民の信頼に応えるかかりつけ医として」)
どこに相談すれば良いか迷った時の最初の窓口として、信頼できるかかりつけ医の存在は非常に心強いものです。これを機に、ご自身の「かかりつけ医」を見つけておくのも良いかもしれませんね。
まとめ:胃痛で何科か迷ったら自分で判断しない
今回は、胃痛で何科を受診すべきかについて、症状や原因、病院の選び方まで幅広く解説しました。最後に、この記事の要点をリストで振り返ってみましょう。
・急な胃痛や食後の痛みは、急性胃炎や感染性胃腸炎の可能性があります。
・長く続くキリキリ・シクシクした痛みは、慢性胃炎や胃潰瘍のサインかもしれません。
・吐き気や背中の痛みを伴う場合は、逆流性食道炎や膵炎など他の病気も疑われます。
・夜間の痛みは、ストレスや自律神経の乱れが関係していることが多いです。
・胃痛の症状がはっきりしているなら「消化器内科」の受診がおすすめです。
・どの科か迷う場合や他の症状もある場合は、まず「内科」で相談しましょう。
・女性特有の病気や、強いストレスが胃痛の原因になることもあります。
・ストレスが強い場合は「心療内科」も選択肢の一つです。
・冷や汗を伴う激痛、吐血、黒い便などは、すぐに救急車を呼ぶべき危険なサインです。
・救急車を呼ぶか迷ったら「#7119」に相談できます。
・市販薬で改善しない胃痛を放置すると、重い病気につながるリスクがあります。
・ピロリ菌感染の放置は、胃がんのリスクを高めることが知られています。
・病院は「消化器専門医」がいて「胃カメラ検査」が受けられる場所を選ぶと安心です。
・受診前には、症状などをメモにまとめておくとスムーズに伝えられます。
・何科に行くか迷ったら、まずは「かかりつけ医」に相談するのが最善策です。
胃痛は多くの人が経験するありふれた症状ですが、「たかが胃痛」と軽く考えずに、体からの大切なサインとして受け止めることが重要です。この記事が、あなたの不安を和らげ、適切な医療機関を受診する後押しになれば幸いです。
