- 2026年9月13日
- 2026年9月10日
健診で貧血を指摘されたら?結果の見方と対策
健康診断の結果を見て、「貧血」という項目で指摘を受け、どうしたらいいか不安に思っていませんか。ヘモグロビン数値の見方や、C判定・D判定が何を意味するのか、よくわからない方も多いかもしれません。
また、疲れやすい、だるいといった貧血の症状を感じつつも、めまいや立ちくらみがないからと、つい後回しにしてしまうこともありますよね。
しかし、自覚症状がなくても貧血の放置はリスクがあり、時には体の不調が隠れた病気のサインである可能性もあります。
この記事では、貧血の最多原因である鉄欠乏性貧血をはじめ、女性に多い原因や男性で注意すべき点、さらにはストレスとの関係や「隠れ貧血」についても分かりやすく解説します。
受診の目安やタイミング、何科の内科病院へ行けばよいのか、そして「要精密検査」の指示が出た場合の精密検査の内容まで、詳しくお伝えします。健診で貧血を指摘されたら、まずはかかりつけ医へ相談する大切さを一緒に学んでいきましょう。
著者プロフィール

吉田 健一(よしだ けんいち)
御代志よしだクリニック 院長
出身地: 熊本県熊本市
出身校: 熊本市立西原中学校、熊本高校、熊本大学
経歴:済生会熊本病院に26年勤務してきました。
専門分野:内科、消化器内科、医療安全
趣味:高校大学はボート部に所属し、1995年の福島国体に出場しました。現在は、料理とサッカー観戦を楽しんでいます!
・健診結果にあるヘモグロビン数値の見方がわかります
・貧血の具体的な症状を自分でチェックできるようになります
・貧血のさまざまな原因と病院を受診する目安が理解できます
・貧血をそのままにしておくリスクと必要な対策を知ることができます
健診で見つかる貧血。結果の見方と症状
ヘモグロビン数値の見方とC判定・D判定
健康診断の結果表で貧血かどうかを判断する項目が「ヘモグロビン(Hb)」です。この数値が、あなたの体の酸素運搬能力を示しています。
ヘモグロビンは、血液の中にある赤血球に含まれる赤い色素のことで、肺で受け取った酸素を体のすみずみまで運ぶという、とても大切な役割を担っています。そのため、このヘモグロビンの量が基準値よりも少なくなると、体が酸欠状態になり「貧血」と診断されるのです。
判定はC判定(要経過観察)やD判定(要精密検査・要治療)などで示されます。D判定の場合は速やかな受診が必要ですが、C判定でも安心せず、次回の健診を待たずに一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。
ヘモグロビン基準値と判定の目安
基準値は検査機関によって多少異なりますが、一般的には以下のようになっています。ご自身の結果と見比べてみてください。
| 対象 | 基準値の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| 成人男性 | 13.1~16.3 g/dL | この範囲内ならA判定(異常なし) |
| 成人女性(月経あり) | 12.1~14.5 g/dL | |
| 基準値をわずかに下回る | C判定(要経過観察) | |
| 基準値を大きく下回る | D判定(要精密検査) | |
※厚生労働省のe-ヘルスネットなどを参考に作成 (参照:e-ヘルスネット)
貧血の症状をチェック。疲れやすい、だるさ
貧血になると、体に酸素が十分に行き渡らなくなるため、さまざまな不調が現れます。最もよく聞かれるのが、原因不明の疲れやだるさです。
以前はなんともなかった階段の上り下りで息が切れたり、朝起きるのがつらかったりしませんか。これらは、体がエネルギー不足に陥っているサインかもしれません。
貧血のセルフチェックリスト
以下のような症状に心当たりがないか、確認してみましょう。
・ちょっとしたことで疲れやすい、体がだるい
・顔色が悪く、「疲れている?」とよく聞かれる
・階段や坂道で息切れや動悸がする
・頭が重い、頭痛がする
・集中力が続かない、注意散漫になる
・爪が白っぽく、割れやすかったりスプーンのように反り返ったりする
特に、爪がスプーンのように反り返る症状は「スプーンネイル(匙状爪)」と呼ばれ、鉄分が不足している鉄欠乏性貧血の特徴的なサインの一つとされています。
めまいや立ちくらみがあるなら病院に行くべきか
急に立ち上がったときにクラっとする「立ちくらみ」や、周りがぐるぐる回るような「めまい」も、貧血でよく見られる症状です。これらは、脳への酸素供給が一時的に不足することで起こります。
特に、立ちくらみは「起立性低血圧」とも呼ばれ、貧血の人に起こりやすいと言われています。症状が軽いとつい我慢してしまいがちですが、注意が必要です。

立ちくらみは時々ありますが、すぐに治まるので病院に行くほどでは…と思ってしまいます。

お気持ちはわかります。しかし、めまいや立ちくらみは転倒して怪我をする危険もありますから、頻繁に起こる場合は軽視しないほうが良いですよ。
めまいや立ちくらみが日常生活に影響を与えているなら、迷わず医療機関を受診しましょう。貧血が原因であれば、適切な治療で改善できますし、もし他の病気が隠れていても早期発見につながります。
自覚症状なしでもかかりつけ医への相談は必要
「健診で貧血と出たけれど、特に症状はないから大丈夫」と思っていませんか。しかし、貧血はゆっくりと進行することが多いため、体がだるさや息切れに慣れてしまい、症状を自覚しにくいケースが少なくありません。
自分では気づかないうちに、パフォーマンスが低下している可能性もあります。症状がないからと放置せず、健診結果をきっかけに一度かかりつけ医に相談することがとても大切です。
体の不調は貧血だけでなく、ストレスが関係していることもあります。心身のバランスを整えることも重要です。ストレスと体の関係については「ストレスが胃腸に与える影響とは?原因と対策を優しく解説」でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
貧血の放置リスクと隠れている病気のサイン
「たかが貧血」と軽く考えて放置してしまうのは、とても危険です。貧血が続くと、酸素不足を補うために心臓が過剰に働くことになり、長期的には心臓に大きな負担がかかってしまいます。
重症化すると、心不全などの命に関わる病気を引き起こす可能性もあるとされています。そのため、早期の対応が重要になります。
また、貧血そのものよりも、その原因となっている病気を見逃すことが一番のリスクです。貧血は、体からのSOSサインなのです。
貧血の裏に隠れているかもしれない病気
例えば、以下のような病気が出血を引き起こし、貧血の原因となっていることがあります。
・胃がん、大腸がんなどの消化器系のがん
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍
・子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患
・腎臓の病気
特に、男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が見られた場合は、消化管からの出血が強く疑われるため、精密検査が不可欠です。(参照:国立がん研究センター がん情報サービス)
健診で貧血を指摘されたら。原因と受診の知識
考えられる原因、最多の鉄欠乏性貧血とは?
貧血にはいくつかの種類がありますが、日本人に最も多いのは「鉄欠乏性貧血」です。これは、ヘモグロビンの大切な材料である「鉄」が不足することで起こります。
鉄が不足する原因は、大きく3つに分けられます。1つ目は食事からの摂取不足、2つ目は体からの排出増加、そして3つ目は体が必要とする量の増加です。
偏った食生活や極端なダイエット、月経や消化管からの出血、体の成長期や妊娠・授乳期などが、それぞれ原因として考えられます。日本血液学会によると、これが貧血の中で最も頻度が高いとされています。(参照:日本血液学会)
鉄分を多く含む食品を意識しよう
食事から鉄分を補うことも大切です。動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は吸収率が高く、植物性食品の「非ヘム鉄」はビタミンCと一緒に摂ると吸収されやすくなります。
・ヘム鉄が多い食品: レバー、赤身の肉、カツオ、マグロなど
・非ヘム鉄が多い食品: ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品など
・ビタミンCが多い食品: ピーマン、ブロッコリー、柑橘類など
女性に多い原因と男性で注意すべき原因
貧血は、性別によっても考えられる原因に違いがあります。それぞれの特徴を知っておくことが大切です。
女性の場合、月経による周期的な出血が貧血の最大の原因です。経血量が多い「過多月経」の人は、自覚がないまま慢性的な鉄欠乏状態になっていることも少なくありません。また、妊娠・出産期は胎児に鉄分を供給するため、需要が増大し貧血になりやすくなります。
一方、成人男性の場合、食事だけで鉄欠乏性貧血になることはまれです。そのため、男性に貧血が見られた場合は、胃や腸などの消化管からの出血をまず疑う必要があります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃がんや大腸がんといった病気のサインである可能性を考え、早めに検査を受けることが非常に重要です。
ストレスとの関係と隠れ貧血(フェリチン)
ストレスが直接的に貧血を引き起こすわけではありません。しかし、強いストレスは食欲不振を招いたり、胃腸の働きを悪くして栄養の吸収を妨げたりすることがあります。
その結果、鉄分の摂取や吸収がうまくいかなくなり、間接的に貧血につながる可能性があります。心と体のバランスを整えるセルフケアも大切です。詳しくは「セルフケア 3Rとは?心と体を整える新しい習慣」もご覧ください。
また、健診のヘモグロビン値は正常でも、体のだるさや疲れが取れない場合、「隠れ貧血」かもしれません。これは体内に貯蔵されている鉄である「フェリチン」が枯渇している状態で、潜在性鉄欠乏症とも呼ばれます。
フェリチンは通常の健康診断では測定されない項目です。原因不明の不調が続く場合は、医師に相談してフェリチン値を調べてもらうことを検討しましょう。適切な治療で、つらい症状が改善される可能性があります。(参照:MSDマニュアル家庭版)
受診の目安とタイミング。何科の内科病院へ?
健診で貧血を指摘されたとき、いつ、何科の病院に行けばよいか迷いますよね。まずは落ち着いて、ご自身の状況を確認してみましょう。
受診の目安
・D判定(要精密検査)が出た場合: できるだけ早く受診してください。
・C判定(要経過観察)の場合: 疲れやすい、めまいなどの自覚症状があれば受診をおすすめします。
・自覚症状がないC判定の場合: 放置せず、念のため一度かかりつけ医に相談するのが安心です。

いきなり大きな病院の専門科に行くのは少し気が引けます…。

そうですよね。そういう時は、まずはお近くのかかりつけの内科に相談するのが一番です。健診結果を持って行けば、総合的に判断して、必要なら専門の科へ紹介してくれますよ。
「要精密検査」の指示と精密検査の内容
結果に「要精密検査」と書かれていると、誰でも不安に感じてしまうものです。しかし、これは貧血の原因をきちんと突き止めるための大切なステップだと考えてください。
精密検査では、貧血の種類や原因を特定するために、より詳しい血液検査や、必要に応じてその他の検査を行います。医師が原因を推測し、必要な検査を選択します。
具体的には、以下のような検査が行われることが一般的です。
・詳細な血液検査: 血液中の鉄分量(血清鉄)や、体内の貯蔵鉄の量(フェリチン)などを測定し、鉄欠乏の程度を詳しく調べます。
・便潜血検査: 目に見えない消化管からの出血がないかを確認します。
・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ): 食道・胃・十二指腸からの出血や病気の有無を直接観察します。
・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ): 大腸からの出血やポリープ、がんなどの病気がないかを確認します。
・婦人科検診: 女性の場合、過多月経の原因となる子宮筋腫などがないか超音波検査などで調べます。
健診で指摘された貧血は、まずかかりつけ医へ
最後に、この記事で解説した大切なポイントを振り返りましょう。健診で貧血を指摘されたら、ぜひ以下の点を思い出して行動に移してみてください。
・健康診断で貧血を指摘されたら、自覚症状がなくても放置しないことが大切です。
・健診結果のヘモグロビン(Hb)値が基準より低いと貧血と判断されます。
・D判定は速やかに受診を、C判定でも症状がある場合や不安な場合は相談しましょう。
・貧血の主な症状は、疲れやすさ、だるさ、息切れ、動悸、めまい、頭痛などです。
・症状を自覚しにくいのは、体が酸欠状態に徐々に慣れてしまうためです。
・貧血の放置は心臓への負担を増やし、重大な病気を見逃すリスクがあります。
・貧血で最も多いのは、ヘモグロビンの材料である鉄が不足する「鉄欠乏性貧血」です。
・女性は月経、妊娠・出産、無理なダイエットなどが主な原因になりやすいです。
・男性や閉経後の女性の貧血は、消化管出血など病気のサインの可能性があり、特に注意が必要です。
・ストレスは食欲不振などを通して、間接的に貧血の原因となることがあります。
・ヘモグロビン値が正常でも、貯蔵鉄(フェリチン)が少ない「隠れ貧血」も存在します。
・受診先に迷ったら、まずは健診結果を持ってかかりつけの内科へ相談するのが基本です。
・「要精密検査」では、血液検査や内視鏡検査などで原因を詳しく調べていきます。
・貧血は、あなたの体からの大切なSOSサインです。
・早めに専門家である医師に相談し、適切なアドバイスや治療を受けましょう。
